"人の女"。そこに反応した自分がいる。 爽哉じゃない、誰かに言われたい…、自然とそう思った。 「……」 大地は無言で爽哉の手を振り払うと、教室からでていく。 「だい…」 小さく名前を呼ぶと、手だけをあげる返事が返ってきた。 「…なんであいつ、ここにいたんだ?」 「…え?」 「ここ、姫の教室だろ? 俺らの教室とは、塔も違う。この塔に、教室以外の部屋はあんまねーし…。音楽室も。 …なんで、姫のところにいたんだろうな?」