「ええーッ。そんな事になっちゃってたワケ?」


風が冷たく肌に突き刺さる、11月。
学園祭の準備が進む中。



わたしは、大切な友達、奏子ちゃんと。

それぞれの近況報告会、を開いてます。


場所はやっぱり。

図書室の裏側にある、小さな庭。

緑から黄色に衣替えした、大きな銀杏の木の下。

ちょっぴり寒いけど(苦笑)。



「で、結局どっちを好きなのよ、アナタ。ずっと好きだった咲坂弟? それとも、猛烈にアプローチを受けている、咲坂兄?」


奏子ちゃんが問い詰める。



「それはっ……」


真面目な天人くんと、お調子者の彩人くん。

顔は同じだけど、性格は正反対。



正直、分からない。
自分の気持ちが……。



彩人くんと遊園地に行った日から――。


わたし……無意識に彩人くんの姿を探してたりする。



「…………」


言葉に詰まった、わたしに。


「うちも、人の事言えないけどね」


小さなため息をつきながら、奏子ちゃんが言った。




――そう。


奏子ちゃんの恋愛事情も複雑なんだ。