彩人くんの言った通り。
駅前商店街の楽器店の前。


奏子ちゃんと須藤くんが、手をつないで歩いていた。
仲の良い恋人同士、って感じで……。



「あの2人、似合ってるよな」


ポツリと彩人くんが呟いた。



うん……そうだね。
ホント、お似合いだ。


奏子ちゃん、幸せそうに笑ってる。
須藤くんと、やり直す事になったのかな?


今日は電話しなきゃっ。

わたし、話したい事があるし。
それに、聞きたい事もできたし――。



「声かける?」

彩人くんの問いに、


「ううん」

わたしは首を横に振った。



♪――――…


その時、彩人くんのケータイが鳴った。


『一期一会』の切ないメロディ。


ツキン。
胸が痛んだ。