――『ゴクドーんとこの』 男子生徒の言葉は嘘ではない。 彼女の祖父は極道の組長だ。 体が弱いのも相まって、彼女は黒塗りの車で送迎されている。 「もうすっかり、こんな季節ですね」 ハンドルを握るのは春樹だった。 街は、イルミネーションに満ちていた。 明日から冬休みで、クリスマスも目前。 街も浮足立っていた。 「綺麗ね」 車の窓からそれを見つめ呟いた。