マンションのエントランスに入ろうとしたあたし達の後ろから突然聞こえた声に
慌てて咄嗟に手を離す。


「な、中村さん、こんばんは」


やばい..バレちゃった!?


「あぁ」


怪しげな顔であたし達を見る中村さん。


ど、どうしよう!!


「何してんの?こんな時間に」

「な、中村さんこそ」

「あぁさっき仕事が終わったんだ・・ところで」



ちらっと視線を翔さんに移す。



「柚子随分親しそうだな」

やばいよ!!これはやばい!!

翔さんが怒ってる~~!!


しかも口調までいつもと違う!!



「親しいというか・・、あ、紹介するね、えっと」

「いや、調査で聞いてるよ。確か中村龍くん、だったかな?」

「調査?あぁそうか。あんたが柚子の子離れできない保護者か」

・・なんかとってもイヤな雰囲気がするのはあたしだけ?


「保護者?」