「君への罰ゲームはまだしてないんだからたくさんとっておかないとな」

「なんで?そんな意地悪なの?」




ふてくされた可愛い声が耳をくすぐる。

数日ぶりに聞く愛おしい人の声はやはり心を落ち着かせて
くれるものなんだと改めて実感する。



まぁ目の前では一名その電話を望んでいない者もいるけれど。


榊が今にも怒鳴り散らしそうな勢いでこちらを睨んでいる。


分かってるさ、


でもどんな激しい戦いをする戦士だって休憩は必要だろ?



「意地悪?勘違いをするな。俺はいつだって君に紳士的に接してるつもりだよ」



電話を左手で持ち、渋々資料に目を通す。


そこに書かれた文章に一気に目を通し判を押す。




「今なにをしてるの?」


“仕事中だよ今も資料片手ににらめっこしてるところだ”



なんて言ったら君は絶対に怒るだろうな

そしてすぐに電話を切ろうとする。


だから俺が言えるのは



「今、夜景を見ている」

そうやって君が遠慮しなくていいような小さくて優しい嘘。

これくらいなら君も許してくれるだろ?