鞄から取り出した携帯と睨めっこをしている智香子さんがあたしに視線を向ける。



「うまく・・いってないから翔が戻ったのよ」



やっぱり、うまくいっていないんだ。

急に不安がよぎる。


もしかしたらお母さんとあんな話をした後だからかもしれないけれど。



「そうだけどでももし」

「もしなんて起こることのないように今最善を尽くしてるわ。
私も翔もそれからおじいさまも」

「おじいさま、復帰されたんですか?」

「その答えについて言うとノーね。ただ昔よくしてくれた人たち
一軒一軒に挨拶しながら融資のお願いしてるわ」

「そうなんですね」


そう答えて口を閉じたあたしに



「あなたはなにも心配する事ないの。ただ信じて翔を待ってなさい」


智香子さんがポンっと肩を叩いて言ってくれた。