呆れながらも髪を整えたら、ガラッと教室の扉が開いて先生がやって来た。


「ほらホームルーム始めるぞ〜!!

おっ孝!!やっと来たのかよ!!」


「はい!!長い間すみませんでした!!」


「まったくだ!!で、何で休んでたんだ?」


《えっ!?》

私は先生のこの一言に驚く。

孝は先生に病気のことを伝えてなかったから。


「いやぁ〜自分探しの旅に出てまして…」


どわっと皆が笑い始めたが、私は笑えなかった。

何で孝は先生にも病気のことを言ってないんだろう…それをずっと考えていたから。


《孝と目があったら口パクで聞こう…》

しかし孝はそんな私の考えを知ってか知らずか、こちらを全く見なかった。


そんな孝の背中は何だか

「聞かないでくれ」

と言ってるように見える。


この日から、孝は自分の死への準備を始めたのだ――。