「見つけた…」

小さく呟いて、母を目で追っていく。

すると道の脇に停めてあった車に乗っていった。


よく見ると車の中にはもう一人、男の人が乗っている。

「やっぱり浮気じゃん。どうせお父さんだって、また若い愛人と会ってるんだろうし…

愛してないなら別れればいいのに。」

窓を閉め、双眼鏡をしまってからお風呂に入った。


お風呂に入っている間、孝の言葉が頭の中で何回も繰り返された。


『何の才能も無い奴なんていない』

『笑ってる方がいい』………


《明日、学校で笑ってみよう。》

そう決心してお風呂から出て、夕食を食べた。


時計を見るともう九時

「孝…寝たかな…」