「そう言えば・・・今日あの人に会ったよ。」


思い出したように急に静が食べる手を止めて言った。



「誰?」

聞き返すと

「『有也先生』」


静は私の反応を見るように言った。


う、、、、、


『有也先生』・・・大内有也


また・・・何で?



「そう・・どこで?」


「予備校の近く。」


予備校?


「予備校って?」


「ああ、俺こっちに居る夏休みの間、予備校で講師するんだ。」


予備校でバイト?

どこの予備校?


まさか・・・だよね?



「わざわざこっちに来てバイトしなくても・・・
帰ってこなくてよかったのに。」


そう言ってしまって・・・


静のさみしそうな顔に気が付き・・・



「ま、食費出すなら置いてやるけど。」


「マジ?金取るの?さくらっていつからそんなに強欲になったわけ?」


強欲?


「静、あんたねえ~、お姉様に向かって『強欲』呼ばわりするわけ?」


まあ・・・いいけど・・・当たってるし・・・