隣の男はよく見える



静を見上げると

「しつこいナンパでさあ~、
彼女と待ち合わせって言っちゃたから
取り合えず見えなくなるまでこうしてて。」


静はそう言って舌を出した。


「誰が彼女だって?まったく・・・。」


そうゆ~ことでしたか・・・。



嫌な気はしない。

弟だけど美形だし・・・。



そのまま二人で歩いた。


静ってばいつの間にこんなに大きくなったんだろう・・・。


隣に居るのは別人みたい。



静の顔見ようとすると見上げなきゃならなくなった。


昔は、こんなに小っちゃくって・・・。



なんて昔を懐かしんでるようじゃ・・・私も年?





「何食う?」


静はもう食べることしか頭にないらしい。


飲食店を物色中だ。


「何でもいいよ。」

そう言ったら



「さくらなんてさあ、
昔、俺が何でもいいって言うとすぐ殴ったじゃん。
『何でもいいって言うのが一番困るの!』とか言って。」


・・・・


「そうだっけ?あんまり記憶にないな~。」


私が忘れた振りをしたら