隣の男はよく見える


さっきのこと謝ろうと思ってた。



隣の席―――

でも、もう旭は営業に出た後だった。



あ~あ・・・謝りそびれた・・・

このまま気まずくならないといいけど・・・



と・・・

そんな心配は無用だった。





お昼休み前に戻った旭。


「ほれ、眠気覚まし。」


帰って来るなり旭が私の机に缶コーヒーを置いた。


「あ、ありがと。」

「あれ~、立花さんさくら先輩にだけですかあ~、ずる~い!」


向いの席で後輩が言った。


「北山さんにも。」


ちゃんと後輩にはミルクティー。

気が利くやつ・・・。


自分の席に着いた旭をチラッと見る。



今朝のこと全然気にしてないの?


「何?何か用か?」


また、見てたの気付かれた。


「べ、別に・・・。」


何で旭が隣の席なんだろう。


もうちょっとあっちの方だったら気になんないのに・・・って思う。


人数少ない営業所・・・

2つ3つ席が離れたって・・・

あんまり変わりはないんだけど・・・