隣の男はよく見える

夢を見た―――


記憶の糸


手繰り寄せ



真実






―――――発端――――――


身近な、すぐ側の人を好きになることがない・・・
そっちの理由・・・



幼稚園に入ったばかりのころ―――


「ママ、見てせいが笑った。」

「ママ、せいがあたしの手握ったよ。」

「ママ、せいが・・・。」



毎日毎日、幼稚園から帰るとすぐその足で弟の静のベットへ直行。



「さくら、今日は幼稚園であったことをお話してちょうだい。」

「え~、あのね。あ、ママ、せいが今・・。」

「さくら!静のことはいいの。」



「だって・・・。」



幼稚園よりも私の日常はかわいい弟のことでいっぱいで・・・



「ママ、あたし大きくなったらせいとけっこんする!」



よくある子供の勘違い。



「何言ってるの。静と結婚なんてできるわけないでしょ。」

「なんで?だって、さくらは、せいが一番大事なの。
だからずっとそばにいてせいをまもるの。だからけっこんする!」


「いい、さくらと静は姉弟なのよ。
パパとさくらが結婚できないのと一緒。」



その説明は分からなかった。



「パパは、ママがいるもん。でも、せいにはいないもん。」


結局納得せずに私はいつか静と結婚すると決めていた。


が・・・