「見ましたよ。」

それが今日の後輩の第一声だった。


「何を見たの?」

「またまた~、さくら先輩ってばあ~。」


何なの?その目つき。


向い側の席で後輩が・・・そう・・・ワクワクしてるって感じ?


私なんかしたっけ?




言われるまで思ってもみなかった・・・


「昨日、すっごいイケメンの彼と肩組んで歩いてましたよね。」


へ・・・?


「ああ・・・肩組むじゃなくって、
ああゆうのは、肩を抱くってゆ~のよ。」



わざわざ言葉を訂正したら、


「やっぱり、さくら先輩で間違いなかったんですね。」



「あ・・。」墓穴?


「もう~、びっくりしちゃいましたよ。
あんなにラブラブ見せつけちゃって~、彼って年下ですよね?」


後輩の声が少し興奮気味で大きくなった。


「ちょっと・・・声大きいよ。」


取り合えず隣の席に旭は居ない。


「遠くからでもすっごいイケメンってわかりましたよ。
例の電話の彼ですよね。あんなに焦って帰って行ったから・・・。」



で、私の帰る時はまだ着替えもしてなかったのに即行で着いてきたって?



「悪いけどあれは彼氏じゃないから。」

「え~、じゃあなんで肩なんか抱いちゃったりするんですか?」

「だから・・・あれは。」


弟だって言ったとして、それこそ何でってなりそう?


「彼氏じゃないなら私に紹介してくださいよ。」