初めての涙はショッパくて、胸が苦しかった。
その日、美月との別れ際に、嫌な約束までしちゃったんだ…。
その約束は…破る事になっちゃったけど…ね…。
そして遂に、俺に裁きが下った。
それから十六年…−。
今ではここから動く事も出来ない。
『…情けないよな…。』
キョトンとするひかるに、口の端を上げてみせた。
「そうだ!つき、魔法だして!」
突然ひかるが言った。
俺は目を丸めてみせたが、ひかるは止まらなかった。
「ほら、雨を止ませて見せたでしょ?」
そうだ、一度、ひかるがバスケの試合の日に体調を崩して、布団の中で泣いていたのを見て、俺がプレゼントしたんだ。
美しく、大きな虹を…!
「あれ、つきの魔法だったんでしょう?」
“私、わかってたんだからね”
と、言わんばかりのドヤ顔をしたひかる。
幼い子供のようで、可愛かった。
思わず微笑む。
『何がみたいんだよ?』
そうベッドに腰掛けるひかるに問い掛ける。ひかるの顔が、俺の一番好きな顔になった。