夢を見た。
親子がいて、父親と母親の間には小さな少女。
私が手を伸ばすと、あっという間に消えていってしまった。
私も一緒に……キエタカッタ……。
『……かる…!』
誰…?
『…ひかる…!』
やめて…。
私はこのまま眠っていたいのに…。
『ひかる!』
「……!」
目を勢いよく開けた。
「…つき…さん…?」
不安げなつきさんの顔。
そんな顔しないで…。
笑って…?
「…つきさん」
私が笑いかけると、つきさんもニッコリ微笑んだ。
『…よかった…』
その日は長男の森也(しんや)さんが夕食を作ってくれた。
ご飯はちょっと冷たくて、百合子さんはリビングのソファから動かなかった。
私は、つきさんの温もりに頭がいっぱいで荷物にも手が届かなかった。
でも、それは恋とかいう甘い感情でなくて、頭の奥を刺激されるような、複雑な感情だった。

