謙吾と話すようになった頃を思い出す。


祐治に逢いたくて彼を待ち伏せしても逢えなくて。そんな頃だった。

どこでも良く偶然あって。

同じ会社の祐治に会わないのに、月に一度くる謙吾には必ず会った。


休日、ショッピングモールでもばったり会った。


この時だったかな。良く会うから笑いが出てきて。だって逢いたい人には逢えないのに。


笑いながら挨拶したら、謙吾も笑ってたよね。1人で映画みたんだって言ってたね。


独身かと思ったよ。ジーパンにカジュアルなシャツ。お洒落なジャケット。まるでショップ店員のようだった。


それから会えば良く話したよね。映画の話やDVDの話。
祐治と長く不倫関係だった私には、謙吾が凄く幼くて…ついつい年下のように扱っていた。