しばらく会話は発生しなかった。

ただ2人で視線が合うだけ。


ユラはしばらく押し黙ったあと、口を開いた。

「……ホントにごめんなさい」

それを聞いてヤナも視線を逸らした。



ユラは胸元で強く手を握り締めて口を開く。

「全部、話すね。私のことも、あの人達のことも…」


その重苦しそうに話すユラに目を向けざるを得なかった。



ヤナ自信、一晩しか共に過ごしてはいないが、あんな明るかったユラがこんな暗い表情をするのは想像できなかった。

「…ここは、アンマズラの本拠地。私と一緒に来た人がアンマズラのボス『魔王』」
(魔王………)

ヤナは心の中で繰り返した。


頭の奥にはあの幼い頃に例の単語を口にする父親の声が響いた。

「双子の男の子達はハイマとハノン、右に痣がある子がハイマ。それから隣に立ってた男がミグレ、ハイマとハノンを作った魔術師」

「!?」

「言いたいことは話せなくても分かる。聞いて…」