そして
学校の玄関まで走って来たとき



「あれー?有美ちゃんー?」


双子の片割れが、いた。




「ドコ行くのー?」


『……退いてください。』



私は立ちふさがるように、前に立っている双子の片割れに言ったが、どうやら退くつもりはないらしい。


そして、また同じ質問をしてきた。



「ドコに、行くのー?」


『――っ!良いから!退いて、皐月!』



追い詰められている気がして、逃げたくてしょうがない。


なので
無理やり皐月を押しどけて逃げた。




そんな有美の背中を見ながら、皐月は呟く。




「有美ちゃん……分かってたんだー。」



―――「ねー。僕たちの、見分けつく?」

―――『分かるわけないじゃないですか。』




「見分け……ついてたねー。だって」




―――『良いから!退いて、―…皐月!』





「ボクのこと皐月って言ってたもん。」




皐月は
愉快そうに笑みをこぼして、去っていった。