『………魁。』


私は聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声で呟いた。


しかし、赤髪君……いや、魁の耳にはしっかりと届いていたらしい。



「おぅ。言えるじゃねーか。」


若干、上から目線なのが気になるが
そのときの魁は



『………。』


言葉を失うくらい、綺麗な顔をして笑っていた。




「あ?んだよ。固まって。」


『いや、……何でもない。』






少しだけ赤くなった顔を隠してくれる前髪に、初めて感謝をした。