『これはヤバい。ハズい。降ろしてよ。』


華南と泰斗、おいてきちゃったし。と思って、後ろを振り返ってみると

笑顔で手を降っていらっしゃった。


観客も、ニヤニヤと、冷やかしの言葉を送ってくる。



『………。』


味方はいないと悟った。



「なんだよ、姫抱きはイヤなのかよ。オヒメサマ?」


ステージの裏に来て、ようやく降ろしてくれた魁。


『誰がオヒメサマよ。』


「ヒロインになってもいいんだろ?」


―――俺がヒーローで、お前がヒロインの物語で。


魁はそう言った。



まぁね、


『主人公も、悪くないかもね。』


二人で、顔を見合わせ笑って、もう一度キスをした。







END