泣きそうだった――…



気丈な、アイツが。

虐められていても、イジメをしていた奴を、許せる。そんなアイツが。





「――…なんで、あんなことになったんだろうな。」


「え?魁ー、どしたのー?」




皐月が聞いてくるが、
今はそんなコトに耳を傾けてはいられない。



俺は鞄から、
いつも持っている手紙を握りしめ、走り出した。






「え、…ちょ……っ、魁ー?」


「わりぃ、サボる!」



皐月にそれだけ伝えて、俺は学校を抜け出した。