「おぅ。」
中津はまた小さく相槌を打つ。
ー…俺は間違ってない
なんて思いながら。
棚井はまだ一年生で、中津は卒業間近の三年生。
本当は夏で引退するはずだったんだけれど、中津の大学が推薦で早く決まっていたので、12月の今の今まで残って居たのだった。
棚井は…容姿は整っていて―大きな意思のある目に、つねに笑顔、声も演劇部向けで、アニメにでも出てきそうないい声だった。―といった、人形のような子で…
とは言っても、本当はそんなにも完璧でなく、「そういうキャラ」を、無理に演じているかのような、女子であった。
一方、中津はというと、
―まぁ、言ってしまえば変わり者、なのだが―
異様なテンション高の、目立ちたがりやの寂しがりやの少年だった。
二人が出会ったのは、今年の3月。部活見学会のときで、
お互いに、
―はじめて、こんな人みた―
と思っていたものだったりした。
