「すごー」
思わず漏れた私の声に反応しこちらを振り向いた男は
綺麗な顔立ちをした
これぞ当に美少年、てな感じだった
こんな所に人がいるとは思わなかったのだろう
驚いた顔のままこっちをじっと見ている
何か言おうとしたのだろうか
少し口が開いた時
彼の後ろで転んでいた1人が起き上がるのが見えた
その手に光るモノを見つけた瞬間
―シュッ…
ドス
「…ぐぇ」
素早く風を切る音と
人を殴った鈍い音に続き
変な呻き声が静まりかえったこの場に響いた
「どこまで卑怯なんだよ」
少しの間の後
声を出したのは勿論
私
近くに落ちているナイフを拾って池に投げ入れ
まだ呆然と立ちつくしている彼に目を向ける
「お前…」
やっと我を取り戻せたのか小さな声を上げた

