《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~

「なぜ、逃げるの。」

 いつもより低い声で、ルミナミエに迫る。

 やたらと長く感じる。

 かち、カチ、カチッ~♪

 秒針の音が聞こえるたびに、自分が追い込まれている気がした。


 しかし、エクシリオンはこれを合図に言葉を発した。

「お願い、戻ってきてほしい。」

 甘い声に、思わず『うん』ってうなずきそうになる。


――モドッテキテホシイ?

   そんな資格、私にあるの?――

 しかし、冷静に考えてみたら、“若き医者”っと言うプライドが崩れた者に、治療を願う人なんているか。

 実際、皆はミュウエノアの死はどう聞いているのは知らないが。