「あ、これ」

 汚いもののなかに、指が入っていた。よりによって、こんなところに……。
 僕は汚いものを持つかのような持ち方で、それを持った。
 指は固く、カチコチだ。

「プラスチック?」

 触感はまさにそれだった。

「え?プラスチック?」

 不思議に思った藍原さんは、僕から指を奪った。

「本当だ。プラスチックだ」

 そしてその指を、どこかに投げた。
 指はトカっと音をたて、どこかの隙間に入った。

「アホらしい。探すわよ、指」

「あの~……」

 急にまた、青白い顔の女がやってきた。
 僕の体が跳び跳ねた。

「あれが……私の指なんですが……」

 めちゃくちゃ言いにくそうに、女は藍原さんに言った。
 藍原さんは「えっ」と声をあげ、女を凝視した。
 辺りに、気まずい雰囲気が流れる。

「……指を見つけてくれて、ありがとう」

 絶対この子、根に持ってるよ!!めちゃくちゃ藍原さんを睨んでるよ!!

「あ……どういたしまして」

 藍原さんは藍原さんで、なかったことにしようとしてる。

「じゃあ、私たちをここから出して?」

 図々しいにもほどがあるよ!!藍原さん。

「え…あなたたちを閉じ込めてるのは、私ではないわ。私では無理なの………てか、仮に出せたとしても出してあげない。指投げたから」

 最後の方は、とても小さい声だったけど、ちゃんと聞こえたよ!!
 やっぱり、根に持ってたか。

「あ、なら仕方ない。じゃあね……チッ」

 舌打ちしたよ、この子。

「じゃあ、それじゃあ」

 そう言うと、青白い顔の女は、スッと消えた。
 辺りは何ごもなかったかのように、元に戻った。