「もうイヤッ!!やめてよ」

 藍原馬鹿野郎独裁者研究員は、耳を塞いでうずくまる。
 僕も正直怖い。
 友達に聞けば、ここは幽霊スポットではないらしい。
 人がいない理由も、交通の便が悪いかららしい。
 なのに、何だこのポルターガイストもどきは。
 聞いていた話とは全く違う。
 何より怖いのは、何故、藍原馬鹿野郎独裁者研究員がここにいるかという理由だ。
 そして、藍原馬鹿野郎独裁者研究員が、幽霊に怖がっているということだ。
 こんな藍原馬鹿野郎独裁者研究員は、藍原馬鹿野郎独裁者研究員じゃない。偽物に違いない。
 何者だっ!!こいつ。

「あんた……藍原馬鹿野郎独裁者研究員って言いたいだけでしょ」

「うん」

「殴る」

 と言っている最中に、殴られた。
 いけないわ。有言実行でもなければ、不言実行でもないなんて。

 ……とりあえず、藍原さんがいつもの様になり、安心した。
 元気がない藍原さんには免疫ないから、調子が狂う。
 僕は殴られた頬をさすりながら
「とりあえず、指探そっか。女の人と約束したし」

「そうね。……私、秘密基地にしてる奴らが、私たちにいたずらしてると思うことにする」

 そう言って藍原さんは、乱暴に引き出しを引いた。
 よほど腹をたててるらしい。
 グシャっと中身が出た。中からは使用済みのティッシュ、薄汚れたハンカチ、使用済みの入れ歯が何個か入っていた。

「汚なっ!!何この引き出し。汚い物専用引き出しなの」