「先生に言ったりするつもりはないよ。だからここに呼んだの。」

「ありえないから。おかしいよ、先輩。」

「そう?」

「…ごめんなさい。もうしない…。桃華先輩は悪くないの。あたしクラスでシカトされてて、こんなに辛いのに桃華先輩はいつも人に囲まれてて笑ってるから…。」

「そうだったんだ。」






ふつうに考えて、あたしなんも関係ない。





ただの被害者。






だけど、なんかこの子を憎めない。








「あたしは何故かみんなあたしに話しかけてくれるの。だから恵まれてるだけ。だって、中学ではいじめられてたもん。」

「…能力があるからでしょ。」

「1人もあたしの味方がいなかったのは、あたしが庇うまでの人でもないからだよ。」

「…。」

「あたしなんて大したことないの。でも、石田さん、自分から輪に入る努力した?」

「…それは…。」

「じゃ、そういうことで。あたし達はもう行くね。」







蓮を見ると、うなずいてくれたから、あたしは歩き出した。






あの子はあの子で頑張るしかない。







「桃華は甘い!」

「まぁまぁ。」






さっきから要がうるさい…。





あたしのために言ってるのはわかるんだけど…。