春風が通りぬけるとき。



すると、まるで思考を遮断するかのように唐突に携帯が鳴り響く。

のせていたタオルをどかし、横にしていた身体を起こす。

携帯を手に取り、着信を目にするとそこに書かれていた名前に息を呑んだ。


「……もしもし」


とりあえず、通話ボタンを押して耳に携帯をあてる。


『もしもーし! 真帆?』


朝っぱらからハイテンションな親友の声。

朝といってももう9時半を過ぎているが。


「……。 朝からテンション高いね」

『そう? いつものことじゃん!』


これでお分りだろう。

電話の相手は、萌だ。


「……それより、どうしたの? いきなり電話なんかして」

『あー…、うん』


妙に歯切れが悪く、様子が可笑しいことに眉を寄せる。


「……萌?」

『あー…、ううん! ただ…、ちょっと心配でさ』


その声にはどこか気付かれたくない思いがあるのと、焦りが混ざっていた。