春風が通りぬけるとき。



「さぁ、では早速話を聞きましょうか」


ニコッと目を細めて笑い、コツコツと靴を鳴らしながら素早く移動すると、真帆の目の前にある元々座っていた椅子に腰をつける。

彼女と先生を挟むのは、様々な道具が置いてあるテーブルだけ。


「それで、貴方がそんなに悩んでいるという相談はどんなのなの?」


両肘をテーブルにピッタリとつける。

真帆はというと、そのままテーブルには触れずに、手はおろしたままだ。


「はい、あの…」


今更気付いたのだが、この部屋に他の生徒はいないのだろうか。

チラリと白いカーテンが開いているこれまた白いシーツに包まれているベッドに目を向ける。

ひとつ目のベッドは人がいないことが分かるのだが、もうひとつのベッドはよく分からない。

彼女の視線に気付き、それをたどり瞬時に理解した先生は安心させる様に微笑んだ。


「大丈夫。此処には今、私と貴方しかいないから」


その言葉に安堵し、息を小さく吐き出した。