春風が通りぬけるとき。



「もしかして貴方が此処に来たのは、心が悲鳴を上げているから…なのかしら?」

「─っ!」


真っ直ぐと漆黒の瞳に魅せられ、思わず息を呑む。

とても芯が強く、綺麗な瞳だ。

この瞳に魅せられてしまえば最後、何でも口を割ってしまうだろう。


「…違う?」

「いえ…、はい、そうです」


胸に当てていた手に力を籠める。



「もう、ひとりで抱え込むには…」


ギリリと奥歯を噛み締めた。


「あぁ、待って。ちょっとごめんなさい」

「…先生?」


言葉を繋ごうとしたがそれを遮り何故か謝られた為、わけが分からず首を傾げる。