春風が通りぬけるとき。



ただ、恋愛に関してはいくら先生にでも話してこなかった。

こんなこと先生に相談なんかしたら、壊れた様に全ての想いをぶちまけてしまいそうだったから。

それに…、何て言われるのか正直なところ怖いというのもある。

でも、それをひとり誰にも相談せず心に留めておくのには、もう限界だった。


「……井上さん?」


やっと様子が可笑しいことに気付いたのか、雪原先生が声をかける。


「……先生、あの」

「ん?」


未だ目線だけは下を向きながらも、声を出す。 内心、絞りだすようなか細い声しか出ないのだから驚きだ。


(……ここまで、弱ってたんだ)


何故かそれが悔しくて哀しくて、ギュッと片手で腕を押さえ付けた。