後ろ姿が見えなくなって、真帆は小さな安心感を抱く。

あのふたりを視界に映すのは、正直なところキツい。

楽しそうに話して、笑顔のふたりを見るのは辛い。


真帆は必死に涙を堪え、夕日が既に沈み欠けていることさえ気付かずに、鞄を走りやすいように肩に提げ、腕を振り足を大きく突き出した。

走って走って…、無我夢中で走った。

走ってる間は、ただ息苦しいと感じるだけで、それ以上は何も考えなかった。

否、考えようとさえしなかった、と言った方が正しい。