ツリーから一歩一歩、離れて行く度、拒否しても止まらない足に、このままじゃ流石にまずいですわ。と息をついた。
「大人しくしてよ?別に悪い事しないし、話したいだけだから」
「話す事などありません」
「暴れないでくれる?力付くで連れてくよ?」
もう既に力付くではないの────半ば呆れたと同時に怒りが沸き上がる。ジトリ、とした腕がヒリヒリと痛い。浮かれた街では私達のやり取りなんて些細な事なのか誰も気に留めなくて、
言う通りにすべきでしたわ────
不甲斐ない自分に、彼の言葉を思い出して込み上げるどうしょうもない後悔に唇を噛んだ。

