嘘つき【-ring-】


「ハァ…」

愁哉さんが口許を手で覆って小さく息をついた。

迷惑だったかしら。押し付けるだけの感情は必要ないと思っているのに、私はいつの間にか欲張りになってしまった。


愁哉さんを見上げれば、私の視線を逸らすように逃げる。







「…どうしてそんなに可愛いんですか」




…え?



「自分がこんなに抑制の効かない人間だと思わなかった。公衆の面前だというのに押し倒してしまいそうです」



苦笑するその顔に、戸惑うような言葉。