肌を刺す冷たい風に、ハァと吐息を零せば白い息が空気に溶ける。
近付く季節のイベントに街は姿を変えてイルミネーションがキラキラと瞬く。
今年も大きな電飾のツリーがゆっくりと色を変えながら周りを照らしていた。


「一人?」


背を向けたツリーの後ろから低い声が聞こえて思わず振り返れば見知らぬ男の人の軽さを込めた笑顔。


「はい」


私に向けられた言葉なら素直に返事をしなくては、と頷くと同時に強い風が吹いた。