「プロポーズと同時に花火を打ち上げる、とか、レストランコースのデザートでリングが出される、とか薔薇の花束にリングを隠す、とか雪玉の中に忍ばせる、とかいうのに憧れるものなのでしょう?」
愁哉さんが真面目に言った言葉に思わず笑いそうになる。だって、何だか、
「…恭平さんみたいですわね。素敵ですけど、理想なんてないですわ」
飾らなくても、大事だと言えるものが、一番嬉しいのだから。
「…あなたはそうしてもらいたかったんじゃなかったのですか?」
愁哉さんの言葉に首を振る。
「…くそ、あいつ」
不機嫌に眉を曲げた愁哉さんは小さくため息を飲んだ。

