「そのままで聞いてくれませんか」
「え…」
「…あなたは俺の理性を殺す気ですか?全く、もう少し理解してほしい」
愁哉さんの声は淡々としているのに、どこか熱が篭っていて戸惑うと、愁哉さんが腕の力を緩めた。
「言葉が足りなくてすみません」
愁哉さん?
「忘れて欲しい、というのはプロポーズというにはあまりにも冷たいと自覚があっただけに申し訳なかったから、」
「そんな事、思ってませんわ」
「俺は思っていた。形にこだわる必要は無いが、それでも、その、」
言いにくそうに言葉を切る愁哉さん。
少し体を離して、やっと向かい合えば至近距離に視線が絡む。

