愁哉さんが、固まっていた。
貴重な光景だという事に気付かない程、私は意識を燃やしていて、
ハッと息を呑む。
じわじわと言いようのない何かが沸き上がってはポンッと弾けて、
…は、恥ずかしいです!
物凄く恥ずかしいわ、私何を!
愁哉さんの瞳が、ヒシヒシと刺さって逃げ出したい。
「あの、私…」
片手で顔を押さえて、愁哉さんを指の間から覗く。呆れたかしら?ああ、もう。
駄目だわ、しっかりしないと。
背筋を伸ばして、愁哉さんと真正面から向き合った。
恋にも愛にも、色々なカタチがあるのに、私はまだ愁哉さんとのそのカタチを定められないでいる。
これでは駄目だと、今意識したばかりなのに、愁哉さんのその固まった無表情がいたたまれない。
な、泣きたいですわ…

