嘘つき【-ring-】


微かに笑えば、愁哉さんは困惑したように目を逸らせた。

「…忘れた訳ではありません、だけどあなたには忘れてもらいたい」

「え?」


読み取れない表情に胸がズキと音を立てる。

忘れてもらいたいような、そんな、嫌な事だったの?


「…申し訳ありません」


愁哉さんが謝る。ますます胸が痛くて、謝らないでと叫びたくなる。

浮ついていた自分が恥ずかしい。


否定、しないで欲しい。
このリングはいつだって私の支えだった。


だけど、愁哉さんにとって忘れて欲しい事なら、私は何も言えない。