愁哉さんの温度が離れて、なんだか寂しくなる。見上げると、愁哉さんはフと笑った。 「本当に、変わりませんね」 その言葉の真意は知らない、けれど優しい瞳には今でも慣れなくて愁哉さんが掬った髪がサラサラと落ちていくのにただ身を任せた。 「…愁ちゃん、ありがとう」 来てくれて、 見つけてくれて、 助けてくれて、 傍にいてくれて、 「ありがとう」 もう一度、私は愁哉さんを見上げる。離れた温度を取り戻すように手を握る。私の温度と一緒に言葉にならないこの想いが伝わるように。