回された腕に力が篭る。それと比例してドキドキと胸が騒ぎ出した。 愁哉さん、来てくれたのね? 嬉しさがメーターを振り切ってしまって、前後の状況なんて頭から飛び去ってしまった。 「…何をしてるんですか」 冬の温度を更に凍えさすような冷え冷えとした声色。 振り返って交差した瞳は確実に、 「…怒ってまして?」 見慣れた氷点下の表情、絶対零度の雰囲気。……そんな顔も好きだなんて私はどうしょうもないかしら。