天と地の境目がはっきりと見える。

逆転とはこのことか。

わずか数メートル先も霞む。

なんだ?

どうして僕は・・・






―――――――2月14日。

テレビをつけても雑誌を見ても・・・一色。

そう、アレ。

アレ。

「ちょっとあたしのチョコ!返してよ!!」

「うっせーな!机に置いとくお前が悪ぃんだろ!」

・・・・教室からは何やら争奪戦がはじまっているようだ。

僕の目の前をピンクのリボンで可愛らしく包装された、小さな箱が飛ぶ。

「こっちよこせ!」

「いくぞー!」

その箱をまるでバスケットボールをするかのように

数名の男子がパスし合っている。