立ち止まった戒は、微かに目を左右に動かす。 「右と、左に1人ずつか」 近いのは── 「右か」 リボルバーを取り出し右に駆けた。 驚いたのはそこにいた男だ、待ち伏せしている自分に向かって躊躇(ためら)いもなく相手が近寄ってくる。 少し小太りの男は慌てて後ずさりし、角に身を隠した。 戒は通路に銃口を向けたが、そこに男はいない。 だが、その向こうにいる事は気配から解っている。 リボルバーを下げて少しずつ近づく。