モニタールームのある建物から出ると、すぐに灰色の高い塀が姿を現す。

 男は先ほどまで見下ろしていた、分厚いコンクリートの塀を無言で見上げた。

<戒(カイ)、派手によろしくね>

「解っている」

 右耳から聞こえた声に片眉を上げ、うっとうしそうに応える。

 そうして監視員が開いた分厚い合金製のドアから、暗い塀の中に踏み入る。

「……」

 右目のディスプレイから流れる情報をぼんやりと視界に捉えながら、夜の敷地内にある気配を探っていく。

 5人か、全て片付ければかなりのポイントが稼げる。

 そんな事を考えながら進む。