「あの戒ってやつ、自衛隊の特殊部隊にいたんだって?」

「そうだよ」

 モニタールームに再び訪れた男が、真仁に話しかける。

 すました顔の30代前半と見られる男は、戒の映像を確認している真仁の後ろ姿を見つめた。

 この男の名は橋場 直貴(はしば なおき)、真仁の組織のスポンサーの1人だ。

 貿易を手がけていて、たっぷり金はある。

「隠された国の組織だね。金がかかるとかで解散になって、自衛隊に残るか退職するかを訊かれて彼は退職したそうだよ」

「だから、あんな動きなのか……」

 戒の動きは、明らかに他のハンタードッグの動きとは違っていた。