「良いところだね」

 戒の視線を誤魔化すように発する。

「ああ」

「ね、戒の家につれてってよ」

 草原を見つめていた翼が、小首をかしげて微笑んだ。

 戒はその笑顔に、かつての恋人の微笑みを重ねる──俺が生きる意味を、お前が与えてくれたのか?

 そう思えてならなかった。

「弟か……」

 本当にいたとしたら、こんな感覚なのかもしれないな。

 薄い雲がまばらにかかる空を見つめ、新たな家族が出来た事に小さく笑みを浮かべた。


 緑の風が頬を滑っていく──今までの事、そしてこれからの事を2人はいつまでも語り合った。


END


※作中に登場する一部の団体名や社名、武器関係などは創作に基づく物で実際のものとは関係ありません。


next→あとがき