ましてや、逃げてきたのにノコノコ戻るわけにはいかない。

武力で行使したとしても、きっとまた元に戻る。

「ジュリ!」

王がそう誰かの名前を呼ぶと、

「はい。お父様。」と一人の女性が出てきた。

キレイな人…。

スラッとした身体に漆黒の長い髪。

「この手紙を今すぐオリヴァンに。

森の精に頼めば扉を使えるだろう。」

カインの手紙をジュリに渡す王。

「わかりました。」

手紙を受け取り、足早に部屋を出て行った。