「あら、池上君、いい事いうじゃない?
私も同感よ。だから中山さん、明後日までバイトの事は忘れて、ゆっくりしなさい。ね?」


瑞希は仕方なくという感じだがコクっと頷き、それを見て春田は満足げに微笑んだ。


「じゃあ行きましょうか? 車で送ってあげるわ」

そう言って春田は車のキーらしき物を指で摘み、プラプラさせた。

「先生、行くって、どっちへですか?」

「もちろん、君のマンションよ」

「えーっ。家の人はいいって言ったんですか!?」

「そうよ」

(嘘だろ? 信じらんねえ…)


「あの…」

瑞希がか細い声を出し、達也と春田は同時に瑞希に目を向けた。

「私は“家”に帰ります。もう大丈夫ですから…」