瑞希の机の中の物を全て鞄に詰め込み、自分のバッグは肩に担いで達也は保健室へ行った。

瑞希は、えんじのジャージを着て、ベッドにチョコンと座っていた。

「もう起きて大丈夫なのか?」

「あ、はい」

「中山さんったら、バイトを休みたくないって言うのよ?」

春田はなぜか白衣を脱いでいた。ピンクのブラウスが、大きめなバストと腰のくびれをやけに強調している。

「無理しちゃダメよ。過労は立派な病気なの。中山さんには休養が必要なんだから。本屋さんも了解してくれたんだし…」

「でも…」

それでもなお瑞希が困ったような顔をしていると、

「迷惑掛けたくないんですって」

と、春田がそのわけを説明した。

「たまには人に迷惑掛けたっていいじゃないか。人って、助け合う生き物だろ?」

達也は瑞希に向かい、優しく諭すようにそう言った。